米国公認会計士(USCPA)試験の難易度をインターネットで検索すると、
- 試験の合格率は約50%!
- 試験で問われるのは基礎的な内容!
- 忙しい人でも挑戦しやすい!
- 努力が報われる!
という文言が躍る予備校のウェブサイトにたどり着きます。
一見すると、USCPAの難易度は高くないように思えます。
私もUSPCA挑戦を決める前はそのような印象を抱いていました。
しかし、USCPA試験に合格した今、強調したいのは
USCPA試験の難易度は非常に高い
ということです。
実際、高い学費を支払ったにも関わらず、途中でリタイアしてしまう人が一定数存在します。
この記事では、USCPA試験の合格率に潜む罠に警鐘を鳴らすとともに、予備校のキャッチコピーに隠された真実を告発し、実際の試験難易度について考察していきたいと思います。
はじめに
私はアビタスのオンライン講座でUSCPA試験に全科目ストレートで合格しました。
アビタスと言えば、「インプットは日本語、アウトプットは英語」という学習方法が特徴です。
講義はもちろんオンラインで受講可能ですが、USCPA受験に必要な単位試験もオンラインで受験可能です。
USCPA挑戦を検討している方は、まず無料の資料請求やセミナーに参加に参加してみるのがお勧めです。
USCPA試験のスコアと受験年月
私は2021年8月にUSCPA試験の全科目合格を達成しました。
各科目のスコアと受験年月は次の通りです。
- FAR:89点(2020年9月)
- AUD:81点(2020年12月)
- BEC:85点(2021年3月)
- REG:92点(2021年7月)
全科目ストレート合格で、合格実績がエクスパイアした科目はありませんでした。
USCPA試験の合格率に潜む罠
米国公認会計士協会(AICPA)のウェブサイトによると、2021年の科目別の合格率は次の通りです。
- FAR:44.54%
- AUD:47.98%
- BEC:61.94%
- REG:59.88%
年によって若干前後しますが、毎年50%程度で推移しています。
しかし、「合格率50%」=「2人に1人が合格する」=「楽勝」と考えるのはあまりにも短絡的です。
なぜなら、次の5点を考慮する必要があるからです。
受験者の大半をアメリカ人が占めること
そもそもがアメリカの試験なので、受験者の大半をアメリカ人が占めています。
当然ながら英語力は上級レベルであり、語学面のハンデを背負っている日本人の合格率は低くなります。
学位要件と単位要件を満たす必要があること
出願州によって多少の違いはありますが、USCPA試験を受験するには大卒であること、且つ会計単位やビジネス単位を取得していることが必要となります。
日本では、予備校で比較的簡単に必要単位を取得し、自己研鑽的に受験する人がそれなりに存在します(私もそうでした)。
一方、周りのアメリカ人にヒアリングしたところ、アメリカ人の受験者は真面目に会計を専攻し、経理のキャリアを積んでいる人が多いとのことです。
即ち、受験者の会計レベルが一定レベル以上となるのは勿論のこと、受験者の多くが会計や経理に関する実務経験も持っていると考えられます。
記念受験者が少ないこと
USCPA試験の受験料は非常に高額です。
出願料(出願州によって異なる)と受験料を合わせて300~400ドル。
アメリカ以外で受験する場合は国際試験追加費用がかかる為、更に371.55ドル。
即ち700~800ドルが科目ごとに発生します。
この為、受験レベルに到達できなかった受験生は通常試験を受けずにドロップアウトします。
多くの日本の資格と異なり、母集団に占める記念受験者の割合はかなり低くなることが予想されます。
通年受験が可能であること
USCPA試験は通年受験が可能です。
仮に不合格になってしまっても、受験料を支払って、テストセンターの予約が取れさえすればすぐに再受験することが可能です。
当日のコンディション不良や問題の出題運のせいで、惜しくも不合格(例えば74点)になってしまった場合は、すぐに再受験すれば合格できる可能性はそれなりに高いことが予想されます。
例えば、受験者が全体で1人だけだとします。
そして、その受験者が74点で不合格となってしまったとします。
USCPA試験が仮に1年に1度しか受験できない一発勝負の試験であれば、その年の合格率は0%となります。
しかし、すぐに再受験して2度目の挑戦で合格すれば、その年の合格率は50%となります。
このように、試験の難易度が易しいから合格率が高いのではなく、通年受験が可能という試験制度の特性上、必然的に合格率が高く出るのです。
全科目合格率ではないこと
AICPAが公表している合格率は科目毎の合格率です。
USCPA試験は、18か月以内に4科目すべてに合格しなければなりません。
しかし、受験者の中には科目合格はしたものの、18か月以内に全科目合格を達成できずに撤退してしまう人がいるという事実を忘れてはいけません。
AICPAから公表されておりませんが、全科目合格率は科目合格率よりもかなり低いことが予想されます。
予備校のキャッチコピーに隠された真実
USCPAは日本の公認会計士(JCPA)としばしば比較されます。
確かにJCPAと比べると、USCPAの難易度が低いのは間違いありません。
しかし、AICPAから公表されている合格率には罠が潜んでいるのは前段に説明した通りです。
「試験で問われるのは基礎的な内容」「忙しい人でも挑戦しやすい」「努力が報われやすい」等といったUSCPA予備校のキャッチコピーを鵜呑みにするのは大変危険です。
なぜなら、すべてのフレーズに「日本の公認会計士試験と比べて」という文言が抜けているからです。
USCPA試験の難易度
あくまで私の主観ですが、
USCPA試験で問われる会計の内容は、日商簿記検定2級のそれよりも遥かに高度に感じました。
また、英語の単語レベルも高く、TOEICにはまず出てこないような専門的な単語を覚えなければなりません。
更に、二重否定等の難解な文法が使用されることもあり、本来の意味と全く逆の意味に捉えてしまった為に選択肢を間違ってしまうということも多々ありました。
私の感触としては、予備校の推奨する勉強時間以内での合格には、最低でも日商簿記検定2級とTOEIC700点ぐらいの土台が必要だと思います。
加えて、日々の勉強時間(即ち代わりに犠牲とする時間)の確保、勉強を継続する意思、それらに対する家族の理解が不可欠となります。
まとめ
受験者を増やしたい予備校は決して言いませんが、USCPAは非常に難しい試験です。
また、インターネット上に溢れている合格体験記には有益な情報も溢れていますが、生存者バイアスが存在することに注意しなければなりません。
USCPA試験は「努力をすれば合格できる」ことが強調されますが、決して生半可な努力で合格できるようなものではありません。
だからこそUSCPAは取得する価値のある資格だと言えるのです。
最後に
この記事がUSCPA受験生のモチベーション向上、試験合格の一助となれば幸いです。
また同時に、USCPA挑戦を検討している人に少しでも参考にして頂ければ幸いです。
Good LUCK!